×

WHITE PAPER:ミリ秒が意味を持つとき: ビジネスを進化させる エッジコンピューティングのパワー

概要

 

クラウドコンピューティングは広く普及していますが、クラウドの基本的な考え方は処理の集中化であり、多くの組織がその限界に直面しています。1秒未満の応答時間を要求する新しい技術、IoT(Internet of Things)デバイスやデータの爆発的な拡がり、そして高品質なオンライン体験を期待するユーザーの存在は、業界を新しいコンピューティングモデルである、エッジコンピューティングに向かわせています。
クラウドコンピューティングの利点は十分に実証されており、これからもテクノロジーエコシステムの中で引き続き重要な役割を果たすことは間違いありません。しかし、ミリ秒レベルのレイテンシが重要な意味を持つアプリケーションでは、クラウドの中心部からラストマイルネットワークのエッジに計算処理能力を移行することが成功の条件となる場合もあります。集中化されたクラウドアーキテクチャでは、現代のコネクテッドデバイスが要求するリアルタイムの応答性に追随することができません。エッジコンピューティングモデルは、ユーザーまたはデータソースとデータセンター内のコンピューティングリソース(またはアプリケーション)との間の距離が大きくなるときに発生するレイテンシを低減することができます。
しかし、エッジコンピューティングのためにインフラストラクチャを新たに構築しようとすると、組織にとって新たな問題が生じます。構築のプロセスには時間とコストがかかり、高度な専門知識を必要とするため、組織にとって貴重な時間とリソースをビジネス活動以外に割り当てなければなりません。このホワイトペーパーでは、エッジコンピューティングのメリットと、効果的なソリューションを実装するために必要な要素について解説します。
また、ライムライト・ネットワークスのEdge Cloud Serviceが、エッジコンピューティングのメリットをいかに迅速に、かつ費用対効果の高い方法で提供できるかについても、詳しく見ていきます。

 

 

中央集中型のクラウド基盤では不十分なケース

 

組織は今、Infrastructure as a Service(IaaS)、Platform as a Service(PaaS)、SaaS(Software as a Service)などのクラウドサービスの採用を進めています。これらのサービスは、魅力的なOpEx(運用コスト)モデルによるフルマネージドサービスを提供しており、組織はデータセンター内のハードウェアとソフトウェアの購入、インストール、設定、監視、保守、およびアップグレードにかかる初期費用と手間を大幅に軽減できます。しかし、データの使用パターンによっては、月々のコストのうちデータ転送およびトランザクションのためのコストが大幅に増加することがあり、移行後にそれに驚かされる組織もあります。さらに現代のクラウドコンピューティングは巨大なデータセンターでアプリケーションを集中処理しているため、データセンターとユーザーまたはデータソースとの距離が大きくなり、アプリケーションのレイテンシに対する要件とユーザーの期待によっては、重大な問題を引き起こす可能性があります。

 

 

IoT アプリケーション

 

IoTデバイスの設置ベースは、2020年までに世界で約310億台に拡大すると予測されています。1

図1:2015年から2025年のInternet of Things(IoT)コネクテッドデバイスのインストールベース

 

ドローン、セキュリティカメラ、自動車、ヘルスケアモニター、産業用ロボット、その他IoTセンサーを搭載した多数のデバイスが、様々な場所で膨大なデータを生み出しており、それらのデータは生み出された瞬間が最も価値を持ちます。ここでの課題は、生成されたすべての情報から最大の価値を引き出すために、十分迅速にデータを処理する方法を編み出すことです。クラウドは複雑な計算を行うことには優れていますが、処理のために各デバイスからクラウドにデータを送信するのが単純に遅すぎるのです。ミリ秒の遅延が重要になる課題では、データを転送するのに時間がかかり過ぎると、データの価値が失われてしまいます。

 

 

これらの要求を満たす新しいアーキテクチャ:
エッジコンピューティング

 

エッジコンピューティングは、これらの課題を解決するための新しいアーキテクチャです。クラウドの中央部分ではなく、データソースに近い場所、より具体的には、ラストマイルネットワークに接続する直前の「エッジ」に計算処理能力を持たせることで、ユーザーエクスペリエンスを飛躍的に向上させます。これにより、エンドユーザーまたはデバイスから遠く離れたクラウドサーバーにインターネットを介してデータを送る必要がなくなります。

 

図2:エッジコンピューティングのパワーを活用

 

多くの新規テクノロジーと同様に、エッジコンピューティングモデルも進化し続けています。現在、マーケットでは次の3つのアプローチが検討されています:
• エッジコンピューティングは、オンプレミスのデータセンターでのサーバーのハウジングという形態に戻るのではないかと示唆する人がいます。オンプレミスのデータセンターは、多くのアプリケーションで必要とされる低レイテンシでリアルタイムに近いコンピューティング体験を提供できる可能性がありますが、組織はすでにクラウドのCapExの低さや、管理をアウトソーシングすることのメリットを経験してしまっています。

• 第2のアプローチは、クラウドのデータセンターを世界中のエンドユーザーの近くに分散して配備することで、エッジコンピューティングの利点とクラウドモデルの利点を同時に実現しようとするものです。組織は、アプリケーション、デバイス、またはエンドユーザーが要求する低レイテンシを実現しつつ、マネージドデータセンターと効率的なOpExモデルのメリットを享受できます。

• エッジコンピューティングはあらゆるシナリオに適しているわけではありません。第3のモデルは、エッジとクラウドが役割を分担するモデルです。このモデルでは、リアルタイムのデータ収集や処理などの応答時間が重要な機能についてはエッジで行い、集中化によるメリットが期待できるバックエンドサービスやコマンド&コントロール、データ解析などのアプリケーションを中央のクラウドデータセンターで処理します。
多くの組織では、オンプレミスのデータセンターを構築して保守するために必要な内部リソースが限られているため、第1のアプローチは世界最大規模のITサービスプロバイダーでもない限り現実的ではありません。第2のアプローチでは既存のクラウドサービスの構造を変える必要があり、コストと時間の面で疑問が残ります。ライムライトは第3のアプローチをとり、グローバルに分散したエッジコンピューティングリソースと集中化されたコンピューティング機能を相互に接続・統合することにフォーカスしています。

 

 

エッジコンピューティングの実際

IoT アプリケーション

 

IoTデバイスは、膨大な量のデータを生成してローカルのデータセンターに転送し、データはそこで即座に処理されます。
例えば医療施設では、絶えず患者データを収集する生体情報モニタのような何千ものIoTデバイスを保有しており、エッジコンピューティングはこれらのセンサーから出力されるデータをすばやく処理して、リアルタイムにフィルターして分析します。すぐに対応が必要なものについてはアラートを送信し、不要なデータはフィルタリングして、使用する帯域幅や保存するデータ量を減らし、パターンをすばやく特定して問題への迅速な対応を可能にします。
エッジでの処理が済んだ後、データのすべてまたは一部が、企業のデータセンター、コロケーション施設またはIaaSクラウドのデータ処理・保存リポジトリに送信されます。クラウドベースのデータセンターは集中化されたリポジトリとして機能し、収集されたデータからパターンと洞察を導き出すために必要なデータセットを提供します。エッジコンピューティングを導入することにより、医療施設は複数の施設を横断して分析リソースを共有することができます。

 

 

現実世界のエッジコンピューティング活用事例

先進企業がどのようにエッジコンピューティングを利用しているかを示す、いくつかの事例があります。

 

IoT 産業検査とモニタリング

 

ドローンとロボットを使用してパイプラインや電力線などのインフラストラクチャを検査する企業では、大量のデータをリアルタイムに取り込み、処理して異常を特定し、さらに詳しい調査が必要になるかどうかを判断しています。エッジコンピューティングのためのリソースは地理的に検査サイトの近くに配備され、リアルタイムの処理と分析を提供することで、手動による検査のコストを削減し、ダウンタイムを最小限に抑えることができます。

 

ビデオ監視と生活の安全確保

 

様々な場所でのビデオ監視とインシデントの検出を行っている企業では、潜在的なセキュリティイベントを可能な限り迅速に検出するために、大量のデータを瞬時に取り込み、処理する必要があります。包括的なエッジコンピューティングソリューションは、大規模なCapEx(設備投資)なしに、必要なコンピューティング機能と応答性、複数のISPとの相互接続に必要な広範なラストマイルの接続性を提供します。

 

統合コミュニケーション

 

オンライン会議を提供するベンダーは、世界中のユーザーにサービスを提供しています。ネットワークのレイテンシに起因する長い読み込み時間、リバッファリングまたは音声の遅延は、ユーザーエクスペリエンスを損なう可能性があり、それはサポートコストの増加や顧客解約率の上昇につながります。エッジコンピューティングソリューションは、ネットワークレイテンシを劇的に削減して一貫した高いパフォーマンスを提供し、世界中でユーザーエクスペリエンスを向上させます。

 

オンラインゲーム

 

オンラインゲーム会社は、対話型ゲームの顧客のユーザーエクスペリエンスを最大化するために、できるだけ最速のオンライン応答時間を提供する必要があります。プライベートバックボーンと結び付けられ、主要なすべてのISPやラストマイルネットワークに接続され、ユーザーの近くに配備された分散型エッジコンピューティングリソースを利用することにより、ゲーマーはリアルタイムでインタラクティブなオンラインゲーム体験を享受でき、より良い体験を求めてまたサイトに戻ってきます。

 

 

エッジコンピューティングインフラを構築する上での課題

 

エッジコンピューティングには様々なメリットがありますが、独自のエッジコンピューティング環境を開発し、展開、運用するためには多額の投資と高度な専門知識を必要とします。
課題は次のとおりです。

 

• ラストマイル接続の構築。ユーザーは常に移動しており、デバイスによって絶えず異なるインターネットサービスプロバイダ(ISP)に接続しています。地域内のすべてのISPとサービスを接続できる堅牢で信頼性の高い環境をグローバルに構築するためには多大な時間とコストがかかり、他のビジネス上重要な問題を抱える組織にとって大きな負担になります。

 

• バックボーンの構築。各々のエッジサイトは、相互のフェイルオーバーやビジネス継続性のため、あるいはデータセットの共有や分散型エッジコンピューティング資産の統合のために、ネットワークバックボーンを使って相互に接続され、同時に中央のクラウドインスタンスにも接続しています。このように、高い信頼性を持ち、十分な容量・パフォーマンスを持つバックボーンを構築するためには、通信会社と契約して物理的な回線を調達する必要がありますが、これは数カ月かかるプロセスです。さらに組織は、社内の貴重なリソースを製品の開発やマーケティングからインフラストラクチャの構築にシフトさせる必要があります。

 

• データセンターの構築。コロケーション施設はデータセンターの構築を簡素化してくれますが、稼働環境を構築するためには詳細な計画が必要で、予算や労力も大量に投入する必要があります。契約から稼働開始までの時間は、比較的単純な場合であっても、数週間または数ヶ月を要します。

 

• 人材の確保。組織はまた、すべてのエッジコンピューティングプロセスとリソースのセットアップと継続的な運用を管理するために、知識のあるスタッフを配置する必要があります。グローバルインフラの設計、構築、管理のコストと労力が資本を最大限に活用しているかどうかを判断するためには、包括的な分析が必要です。

 

ライムライト・ネットワークスの
Edge Cloud Service

 

ライムライト・ネットワークスのEdge Cloud Serviceを利用すれば、組織は自らインフラストラクチャを構築する必要は無くなり、限られた時間、労力、予算をビジネスの拡大のために使うことができます。ライムライトは、レイテンシに敏感なデジタルメディアを最高のパフォーマンスが要求されるエッジコンピューティングアプリケーションに場所やデバイスの種類に関係なく提供した経験を活かし、お客様と協力して、アプリケーションをユーザーまたはエッジデバイスの近くに配置し、データ主権に関する地域の規制へのコンプライアンスを維持します。
ライムライトは、優れたエッジコンピューティングソリューションの構築に必要な、4つの重要な要素を提供します。
• 中央のクラウドリソースをすべてのエッジコンピューティングサイトと接続し、すべてのエッジコンピューティングサイト同士を相互に接続する安全なプライベートネットワーク。
• エンドユーザーへ効率的にサービスを提供する、ラストマイルサービスプロバイダとの包括的なネットワーク。
• 柔軟なコンピューティングオプション – クラウドモデルのようにコンピューティングリソースをレンタルするか、コロケーションモデルのように独自のハードウェアを使用するかを選択することが可能。
• ネットワーク運用、監視、24/7/365ライブグローバルサポートなど、10年以上におよぶ世界最大のグローバル分散ネットワークの構築と運用の経験。

 

 

世界最大規模のプライベートネットワーク

 

ライムライトが持つ世界最大規模のプライベートネットワークは、混雑しがちな公共のインターネットを迂回し、安全かつ確実にデータを世界中に送信することを可能にします。ライムライトは、ネットワークのすべてのコンポーネントについて継続的に開発と最適化への投資を続けており、世界のあらゆる場所で一貫した業界最高レベルのパフォーマンスを保証
します。

 

 

ラストマイルネットワークへの接続

 

ライムライトは、全世界に配備した80箇所以上のPoP(Points of Presence:大規模配信拠点)を活用して、900を超えるグローバルISPへのワンホップ接続を提供します。ライムライトは、ユーザーとデバイスがどのような接続方法(固定ブロードバンド、ワイヤレス、または最新の5G接続)を利用しているかに関係なく、可能な限りエッジに近い場所でのコンピューティングを提供し、レイテンシを最少化して1秒未満の応答時間を実現します。

 

 

エッジにデータセンターを配備

ライムライトの柔軟なコンピューティングオプションにより、お客様はライムライトのデータセンター内でコンピューティングリソースをレンタルしたり、独自のハードウェアを導入することができます。ライムライトの専門家は、お客様のデータセンター運用のすべての側面を管理することに加え、確実に地域毎のデータ主権規制に準拠できるようサポートします。

 

結論

 

エッジコンピューティングは、1秒未満という高速な応答時間を必要とするアプリケーションに、強力な新しいソリューションを提供します。コンピューティングパワーをネットワークエッジに置くことで、レイテンシを大幅に削減し、ユーザーエクスペリエンスを大幅に向上させることができます。ライムライトのEdge Cloud Serviceを利用することで、企業は高性能なプライベートエッジコンピューティングソリューションを簡単に利用することができ、ネットワークを構築・維持することに手間をとられることなく、ビジネスに集中できます。

 

Limelight Networksについて

 

デジタルコンテンツ配信の世界的リーダーである Limelight Networks Inc. (lNASDAQ:LLNW) は、デジタルコンテンツを安全に管理し、あらゆるデバイスへ向けてグローバルに配信できるようにすることで、オンライン視聴者との繋がりを深めるお手伝いをします。数々の賞を受賞した Limelight Orchestrate Platform は、デジタルコンテンツを保護し、様々なデバイスに優れたエクスペリエンスを提供し、ブランド認知度を高め、収益を上げ、顧客関係を強化するためのコンテンツ配信技術とサービスを提供します。詳細については www.limelightnetworks.jp をご覧頂ください。

 

1 https://www.statista.com/statistics/471264/iot-number-of-connected-devices-worldwide/