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ビデオ配信のための CDN を選択する際に検討すべき重要な項目

重要な検討事項とCDNベンダーに聞くべき質問を特定するための指針のまとめ

ビデオ配信のための CDN を選択する際に検討すべき重要な項目

 

顧客満足度と売上を最大化させる最高のストリーミングビデオエクスペリエンスを提供するために、多くの企業がコンテンツ配信ネットワーク(CDN)を利用しています。しかし、ビデオワークフローとビジネスの要件に適合したCDNを選択するためには、まず自社固有のニーズを明確化し、理解する必要があります。

以下に、重要な検討事項とCDNベンダーに聞くべき質問を特定するための指針をまとめました。

 

1. 自社のニーズを明確化する

 

視聴者の増加は望ましいことですが、配信規模が大きくなれば技術的およびビジネス上の課題は複雑化し、その解決は難しくなります。

以下に、ライムライトが企業のストリーミングビデオ配信の拡張を支援してきた豊富な経験に基づいて、最初に明確化すべき重要な事項を示します。

 

ターゲットとする視聴者はどこにいますか?
世界中
国内のみ
限られた地域内
ターゲットとする視聴者がいる地域に、大容量のPoP(Point of Presence:大規模配信拠点)が配備されているCDNを選択することが重要です。そしてそのCDNが、CDNとユーザーのインターネット接続との間の「ラストマイル」ボトルネックを解消するために、地域のインターネットサービスプロバイダー(ISP)とピアリング接続されていることを確認してください。

 

配信するコンテンツに求められるセキュリティ要件は何ですか?
ビデオデジタル著作権管理 (DRM)
TLS/SSL 暗号化
分散型サービス妨害 (DDoS) 攻撃からの保護
Web Application Firewall (WAF) による保護
コンテンツを外部から調達している場合、ライセンス契約を遵守する必要があります。その場合、Google、Microsoft、Appleなどのシステムをサポートできる統合DRMを備えたCDNが必要です。また、配信中のコンテンツを不正に傍受されないようにするためには、TLS/SSL暗号化を完全にサポートするCDNを選択しなければなりません。
攻撃を受けたときでもシステムをダウンさせず、アップタイムとパフォーマンスを維持するためには、DDoS攻撃からの保護とネットワーク上の攻撃緩和機能を備えたCDNが有効です。また、視聴者の個人情報の盗難リスクからWebアプリケーションを保護するには、WAFによる保護が役立ちます。

 

2. ワークフローに必須の要件は何かを特定する

ストリーミングビデオのワークフローは、ライブストリーミングとビデオオンデマンドという2つのカテゴリに分けられます。

 

ライブビデオストリーミング

 

ライブイベント、ゲーム、その他のコンテンツのストリーミングは技術的ハードルが高く、規模が大きくなるほど困難になります。現在の「ライブ」ストリーミングで一般的に採用されているチャンクベースのストリーミングには配信時の遅延が大きいという問題があり、遅延に厳しいアプリケーションでの利用は困難です。また、視聴者が急増すると配信品質が低下し、一部のユーザーがアクセスできなくなる可能性もあります。できるだけ多くの視聴者に簡単にリーチするためには、次のことを考慮してください。

 

成功へのステップ:
最初に、システムがサポートできる最高の品質のビデオを取り込むことで、その後の処理でも高品質を維持できます。
自動トランスマックスを使用して、配信するさまざまな表示デバイスに合わせたさまざまなストリーミング形式にストリームを変換します。
自動トランスコードにより、各ユーザーの回線速度に最適なビットレートを適用します。
最小限の再バッファリング率でストリーミングビデオを配信してきた実績を持つ、大容量のグローバルCDNを選択します。そのCDNがプライベートネットワークをベースにしている場合には、パブリックインターネットの混雑を回避することができます。
低遅延のストリーミング配信が必要な場合は、1秒未満の遅延を大規模に実現でき、プラグインなしで任意のブラウザーで動作する新しいリアルタイムテクノロジーの採用を検討してください。

 

ストリーミングビデオオンデマンド (VOD)

 

現代のストリーミングビデオの視聴者は常に高いパフォーマンスを期待しており、遅延や再バッファリングに対して寛容ではありません。これらの期待は、多数のユーザーがさまざまなタイトルに同時にアクセスするピーク時でも変わりません。

 

成功へのステップ:
最小限の再バッファリング率でストリーミングビデオを配信してきた実績を持つ、大容量のグローバルCDNを選択します。そのCDNがプライベートネットワークをベースにしている場合には、パブリックインターネットの混雑を回避することができます。
各々のビデオを複数のストリーミング形式で保存しておく代わりに、オンザフライ変換を使用して視聴者のリクエストに応じた最適なストリームを自動生成することで、ストレージコストを削減できます。
複数のDRM形式で暗号化されたビデオを個別に保存する代わりに、オンザフライのマルチDRMを使用して、リクエストに応じて適切な暗号化を行います。
アクセスの多い地域のPoPのストレージにコンテンツの複製を置いておき、ユーザーに最も近い場所から自動的に配信します。

 

配信ワークフローの管理

ほとんどの企業は、ビデオコンテンツやさまざまなデバイスへの配信を管理するために、専用に設計されたオンラインビデオプラットフォーム(OVP)を利用しています。

 

OVPの検討にあたって確認すべき点:
マルチビットレート、マルチ解像度フォーマットへの自動トランスコーディングをサポートしているか。
HTML5のウェブページに埋め込み、最新のブラウザで動作するビデオプレイヤーアプリケーションを持っているか。
視聴者とのエンゲージメントを最適化するために必要な情報を提供する、レポートと分析機能を備えているか。
コンテンツの複数のプレイリストを簡単に作成できるか。
コンテンツやプレイリストに広告を統合する予定がある場合は、OVPがVASTなどの標準的な広告挿入仕様をサポートしているかどうかを確認してください。
他のツールとの統合が必要な場合は、API (アプリケーションプログラミングインターフェース)がサポートされているかどうかを確認してください。
独立した複数のシステムを使ってビデオコンテンツを管理・配信する複雑さを解消するためには、CDNと統合され、分析とレポートが統合されたOVPを選択してください。

 

3. ソリューションの実装

 

ビデオ配信の経験が無いお客様の場合には、経験豊富なフルサービスのCDNベンダーが提供しているターンキーソリューションを採用することが成功への最速の道です。既にいくつかの機能を使っている場合でも、完全なエンドツーエンドのソリューションになっていない場合には、機能を追加して要件とのギャップを埋める必要があります。以下に、実装時に役立つ知見を示します。

 

ロードマップ

評価と計画:
管理可能な時間枠の中で達成したい目標を定義します。
現在の状況と、各コンポーネントの将来にわたる適合性を評価します。
動画配信の目標を達成するために、埋める必要があるギャップを特定します。
ギャップを埋め計画を立てるために必要なソリューションと機能を特定します。
成功を確実なものにするためには、これらの基本的な部分を理解することが重要です。この段階では、経験豊富なCDNからの適切なアドバイスが非常に役立ちます。彼らの経験から有用な知見を得ましょう。

 

自社が必要とする主要な機能を特定します:
すべての配信地域での高速なビデオ配信。
一般的なすべてのストリーミング形式とビットレートへのビデオエンコーディング。
自動デバイス検出と各デバイスに最適な形式でのコンテンツ配信。
DRMやジオブロッキング(地域毎の配信制御)などのコンテンツアクセス制御による不正アクセスの制限。
DDoS攻撃の緩和やWAFによる保護などのクラウドセキュリティ機能。
ストリーミングビデオコンテンツの高速配信に最適化されたオリジンストレージ。
ビデオコンテンツを管理するためのオンラインビデオプラットフォーム。
動画アセットの価値を最大化するために役立つレポートと分析。
広告配信のサポート。
コンテンツの管理と配信を簡素化するためのコンフィグレーションツールとセルフプロビジョニングツール(Webベースの管理ポータルおよび/またはAPI)。
ストリーミングビデオソリューションは、視聴者に高品質のオンライン視聴体験を提供し、管理しやすく費用効果の高い操作環境を提供する必要があります。これらの望ましい結果を得るためには、通常、上記のチェックリストのうち多くの機能が必要です。ソリューションを社内で開発し実装するか、プロフェッショナルサービスを活用するか、フルサービスのCDNが提供するターンキーソリューションを利用するかを選択することができます。

 

スタッフとサポート

配信システムで問題が発生した場合、その対応は一分一秒を争います。ダウンタイムを回避するために、CDNが迅速かつ適切なサポートを提供できるかどうかを確認してください。

 

インシデントサポート:
そのベンダーは、年中無休のサポートを提供していますか?
そのベンダーは、ライブサポートを提供していますか? あるいはメールとチャットのみのサポートですか?
そのベンダーは、サポートに対して費用を請求しますか?
そのベンダーは、複数の地域および異なる言語でサポートを提供していますか?
そのベンダーは、効率的なトラフィック配信を保証するための24時間年中無休のネットワークオペレーションセンターを持っていますか?
そのベンダーは、計画された保守およびサービスインシデントに対して適切な顧客通知システムを提供していますか?

 

プロフェッショナルサービスとコンサルティング:
常に変化するビジネス要件に迅速に対応するために新しい機能を実装する場合、経験豊富な専門家による支援が非常に重要になる場合があります。一部のCDNプロバイダーには、ソリューションを劇的に合理化できる専門知識を持った、お客様社内のチームの延長として機能する専門家がいます。
そのベンダーには、導入初期の最適化に役立つ専門のプロフェッショナルサービスチームがありますか?
そのベンダーは、主要なイベントに特化したサポートサービスを提供していますか?
そのベンダーは、ワークフローのコンサルティングとベストプラクティスの実装を提供できますか?
そのベンダーが、他のお客様の同様の問題を解決した例について質問してください。

 

次のステップ

このガイドは、お客様がビデオ配信のために最適なCDNを選択する際に役立つ情報を提供することを目的としています。お客様のご希望がライブストリーミングなのかオンデマンドなのか、あるいはその両方を行うのかという基礎的な要件をまずは明確にしてください。トレンドを調査し、信頼できるパートナー候補とコンタクトします。そしてお客様が持っている現在の機能と、足りない機能を明らかにします。足りていない機能を補完するために、高性能なターンキーソリューション、あるいは個別の製品・サービスの組み合わせのどちらが適切でしょうか? それとも、今のワークフローを単純に高速化すれば良いだけでしょうか? 足りない機能を補完できるサービスを揃え、専門家によって移行を支援できる、ビデオ配信の専門知識を持ったCDNベンダーを探しましょう。ベンダーの選定プロセスでこれらの要素をすべて検討することにより、長期的な成功を約束する最適なパートナーを見つけることができるでしょう。

 

無料トライアル

CDNサービスの採用を検討しているのであれば、無料トライアルを試してみることをお勧めします。ライムライトのソリューションの品質、そしてお客様とそのユーザー様に最高のエクスペリエンスを提供するための、すべてのスタッフによる24時間365日のコミットメントについてご確認ください。詳細については、https://www.limelightnetworks.jp/free-trial/をご覧ください。

 

CDNの選択に関する追加情報

ライブビデオまたはオンデマンドビデオの配信を成功させるためには、一貫した高品質のオンラインエクスペリエンスを提供することが不可欠であり、CDNはその目標を達成するために重要です。ライムライトではオンデマンドのウェビナーも公開しておりますので、お客様のビジネスに最適なソリューションであることをご確認ください。