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低遅延 ライブ OTT (OVER THE TOP) ビデオ配信

低遅延 ライブ OTT (OVER THE TOP) ビデオ配信

はじめに

ライブ OTT(Over The Top)配信の人気が高まり、利用が広がっています。その中で、OTT分野での他社との差別化のために、ライブストリーミングをサービスメニューに加える大手メディア企業が増えています。メディアを配信する事業者が自らのOTTプラットフォームを差別化するための方法のひとつは、遅延の少ない高品質のビデオを提供することです。このホワイトペーパーでは、ライブOTT配信における遅延時間を短縮するために使用できる、さまざまな低遅延ストリーミングオプションについて解説します。

ライブビデオストリームがサーバーにアップロードされ、必要な処理をされてからネットワークを介して視聴者のデバイスに届くまでには、通常は数十秒の時間がかかります。この時間は「遅延時間(レイテンシ)」と呼ばれ、ライブストリーミング配信においては不可避とされてきました。

この遅延時間の影響は、コンテンツによって異なります。映画やテレビ番組などのVODコンテンツでは、遅延は大きな問題にはなりませんが、野球やサッカー、ラグビーなどのスポーツライブイベントでは、遅延時間は視聴者のフラストレーションに繋がる可能性があり、遅延が短ければ短いほど大きな付加価値となります。

皆さんは、ソーシャルメディアの書込みを見ながら、ライブのスポーツイベントをオンラインで見たことがあるでしょうか? ソーシャルメディアの書込みは即座に共有されますが、ソーシャルメディアとオンラインストリーミングの遅延時間が違うため、得点やファインプレーなどの重要なイベントがオンライン配信よりも先にソーシャルメディアで共有されてしまい、「ネタバレ」が発生する可能性があります。これはオンラインビデオの視聴者にとってはフラストレーションとなります。視聴者は、デバイスや場所に関係なく、同じ視聴体験を楽しみたいと考えていますから、遅延時間を短くできれば、不満を解消することができるのです。

 

低遅延およびリアルタイムストリーミングのユースケース

低遅延配信:スポーツイベントのライブ配信、ウェビナー、タウンホール、会議など。
インタラクティブ機能を備えた低遅延配信:投票、オークション、ギャンブル、ゲームなど。
ライブデータとソーシャルメディアの統合には、低遅延技術が必要です。

 

TCP/IPによるライブストリーミング

インターネットは、そもそもビデオを配信するようには設計されていません。しかし、インターネットの普及に伴いビデオ配信への要望が高まり、HTTPライブストリーミングプロトコルが開発されました。これは、ビデオストリームをHTTPベースの小さなチャンク(断片)に分割して配信する技術です。HTTPライブストリーミングはHTTPトランザクションを使用するため、既存のファイアウォールを通過することができ、標準のWebサーバーを使用してビデオストリームを配信したり、コンテンツ配信ネットワーク(CDN)を利用して配信キャパシティを強化したりする

ことができます。図1は、TCP/IPを使用したライブストリーミングプロセスの概要です。

 

チャンクサイズの調整

ビデオチャンクのサイズを調整することで、エンコードされたメディアのビデオセグメントの長さを変更できます。

ビデオエンコーダがビデオチャンク(またはセグメント)を作成する場合、通常は10秒のチャンクサイズで作成されます。ビデオプレイヤー側では、再生を開始する前に3つのビデオセグメントをバッファリングする必要があるため、チャンクサイズが10秒の場合、再生を開始する前に30秒分のビデオをバッファする必要があります。

ここで、チャンクサイズが6秒の場合を考えてみましょう。30秒のビデオをバッファリングする代わりに、プレイヤーは再生を開始する前に18秒のビデオをバッファリングするだけで済みます。下の図2はその概念を示しています。

すべてのケースに最適な万能のチャンクサイズというものは存在しません。チャンクサイズを過度に小さくすると、ストリームが中断してバッファーが空になった場合、リバッファリングのために再生が中断される可能性があります。状況に応じて、チャンクサイズを含めたワークフロー全体をテストする必要があります。

 

LIMELIGHT MULTI-DEVICE MEDIA

DELIVERY LIVE (MMD LIVE)

Limelight MMD Liveサービスは、チャンクサイズを調整することができます。MMD Liveでは、チャンクサイズを1秒にまで短縮することで、エンドツーエンドのレイテンシを6秒にまで短縮できます。MMD Liveは、HLS、HDS、MSS、MPEG-DASHを含むすべての主要なHTTPチャンクストリーミングフォーマットをサポートしており、ライブビデオをさまざまなデバイスに配信するためのプロセスを簡素化することができます。

リアルタイムに近い超低遅延での配信やインタラクティブな機能を必要としない場合には、MMD Liveが最適な選択肢です。

 

COMMON MEDIA APPLICATION FORMAT

(CMAF)

CMAF(Common Media Application Format)は、低遅延配信のためのファイルフォーマットを共通化する取り組みです。現在使用されている2つの主要なHTTPストリーミングフォーマットであるHLSとDASHは、従来ビデオとオーディオをコンテナ化するために異なる方法を使用していました。これら2つで共通のフレームワークを使用して配信用ファイルを作成することにすれば、コンテンツ所有者は一度だけビデオをパッケージ化すれば良くなり、まったく同じオーディオおよびビデオデータのパッケージを2セット用意する必要はなくなります。これにより、さまざまなタブレット、コンピューター、電話、OTTデバイスに簡単にビデオを配信することができます。

 

CMAFエンコーディング

CMAFへのエンコーディング処理を詳しく見てみましょう。図4の上部が、CMAFを使わずにチャンク化したビデオフラグメントです。フラグメントは、各々のビデオサンプルのタイミングと継続時間を含むMoov(Movie Box)ヘッダーで始まります。それに続くMDAT(Movie Data Box)には、ビデオサンプルが含まれています。完全なセグメントが作成された後、ビデオサンプルがエンコーダーから出力されてネットワーク経由で転送され、デコーダーがデコードを行います。

図4の下部が、CMAFチャンクエンコードされたセグメントです。「moof(Movie Fragment Box)」が追加されて、小さなビデオチャンクを記述しています。これらの小さなビデオチャンクをビデオフラグメントと呼びます。小さなビデオフラグメントを認識し、CMAFチャンクストリーミング再生を初期化するための、別のヘッダーが用意されます。

個々のビデオフラグメントは、セグメント全体のエンコードが完了する前でも配信を開始できます。これにより、デコーダー側ではビデオセグメント全体を受信する前でも、ビデオの再生を開始できるのです。ご覧のとおり、CMAFチャンクエンコーディングを使用すると、ビデオの小さなチャンクをより高頻度で配信できるため、エンドツーエンドの待ち時間が短縮されます。

 

CMAFの要件

CMAFで遅延時間を短縮するためには、いくつかの要件を満たす必要があります。

エンコーディング:メディアはCMAFチャンクにエンコードされている必要があります。エンコーダーはマニフェストを更新してビデオのフラグメントを適切に記述し、より小さなビデオフラグメントの利用可能性を通知する必要があります。

ネットワーク:ネットワークは、HTTP 1.1チャンク転送、またはそれと同等に永続的なHTTP接続を可能にする方法をサポートする必要があります。エンコーダーからビデオプレイヤーまでの配信チェーン全体で、チャンク転送エンコーディングを適用する必要があります。チャンク転送エンコーディングを適用する事で、完全なメディアコンテンツが生成される前でも、ヘッダーを読み書きできます。

ビデオプレイヤー:ビデオプレイヤーは、更新されたマニフェストを読み込んで対応できなければなりません。プレイヤーは、受信したビデオフラグメントをデコードし、内部のバッファを動的に調整できる必要があります。

 

WEBRTC と LIMELIGHT REALTIME STREAMING

WebRTC(Web Real-Time Communications)は、ブラウザーおよびモバイルアプリケーション間での通信用に開発が始まったオープンソースプロジェクトで、Google、Mozilla、Operaおよびその他の主要なベンダーによってサポートされています。HLSやMPEG-DASHとは異なり、WebRTCはTCP/IPではなくUDPを使用してストリームをブロードキャストしますが、ストリームはブロードキャストの前にエンコーダーによってチャンク化されている必要があります。WebRTCはもともとピアツーピア通信用に設計されたもので、当初はブラウザー間の通信に使用されていましたが、Limelight Realtime Streamingでは世界中の視聴者をサポートできるように実装されています。

Limelight Realtime StreamingはWebRTCテクノロジーをベースにしており、高速で効率的なUDPデータ転送プロトコルにより、1秒未満の遅延でライブビデオをストリーミングすることができます。再生と配信のためにプラグインや特別なビデオプレイヤーを必要とせず、標準のWebブラウザーだけで利用できます。Limelight RealtimeStreamingは、アダプティブビットレートのストリーミングもサポートしており、変化するネットワーク環境下でも、

各視聴者に可能な限り最高の画質を提供します。Limelight Realtime Streamingは、キャパシティ、カバレッジ、接続性を兼ね備えたLimelightのグローバルプライベートネットワークを活用して、どこにいても視聴者に高品質のリアルタイム視聴体験を提供します。

Limelight Realtime Streamingは、双方向のライブデータを共有する機能も備えています。この相方向のデータチャネルを使用して、コンテンツプロバイダーは1秒未満のビデオストリーミングとともに、インタラクティブなエクスペリエンスを構築できます。

 

結論

市場にはさまざまな低遅延ストリーミングオプションがあり、あらゆるワークフローで低遅延ビデオを配信できるような万能のソリューションはありません。最適なソリューションは、ストリーミングするコンテンツのタイプと個々のビデオワークフローからの要求によって異なります。

さまざまな低遅延ストリーミングテクノロジーの長所と短所を以下に示します。

HLSやMPEG-DASHなどのHTTPライブストリーミングプロトコルは、エンコーダーがビデオチャンクを作成する際に遅延が発生します。一般的なHLSおよびMPEG-DASHプロトコルでは、チャンクサイズをチューニングすることでプレイヤーのバッファリングに起因する遅延を減らすことができます。しかし、チャンクサイズを小さくしすぎるとリバッファリングが発生する可能性があります。Limelight MMD Liveは、すべてのHTTPチャンクフォーマットをサポートしており、6秒という短い遅延時間で視聴者にライブビデオを配信できます。

しかし、インタラクティブ機能を必要とするワークフローで、ライブストリーミング時の遅延を非常に低く抑える必要がある場合は、WebRTCストリーミングテクノロジーが最適なオプションになる場合があります。WebRTCは、HLSおよびMPEG-DASHで必要となるビデオのチャンク化処理およびバッファリングを必要としません。

Limelight Realtime Streamingは、WebRTCテクノロジーを利用してライブビデオストリーミングで1秒未満の遅延を実現します。また、統合されたライブデータ共有も利用可能で、究極のインタラクティブなライブ視聴体験を提供できます。

お客様のワークフローに最適なストリーミングソリューションについては、ライムライトにご相談ください!