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マルチCDN戦略の導入において知っておくべき5つのこと

Steve Milmore, コーポレートコミュニケーションディレクター

マルチCDN戦略の導入において知っておくべき5つのこと

 

急成長しているコンテンツパブリッシャーにとって、冗長性、大規模なトラフィック需要に対応するためグローバルに拡大するための拡張機能は、かつてないほど重要になっています。解決策の一つが、マルチCDNの導入です。 

 

1.マルチCDNとは?

 

 コンテンツ配信ネットワーク(CDN)とは、地理的に分散されたサーバーのシステムであり、デジタルコンテンツの配信を高いパフォーマンスと可用性で実現します。CDNの背景にある考え方は、コンテンツをエンドユーザーのより近くに配置させることです。デジタルコンテンツ(ウェブアプリケーション、ウェブオブジェクト、ファイル、ダウンロード可能なメディア、ストリーミングメディア)を比較的少数のサーバーに集中させる代わりに、コンテンツを世界中に分散した多数のサーバーにキャッシュします。これにより、エンドユーザーは、探しているコンテンツをわざわざオリジンに戻って取得するのではなく、最も近いCDNエッジサーバーから取得することができます。また、CDNは、ライブストリームをその場で適切なデバイスフォーマットに変換しながら、テレビ放送品質の体験を即座に作り出すことが可能なことにより、お客様のパフォーマンスが大幅に向上します(低遅延で配信することができます)。オリジンへの過負荷を回避し、視聴者のスケーリングをを可能にします。

 

2.マルチCDNの利点とは?

 

マルチCDN戦略を検討する理由はいくつかあります。

可用性:障害はお客様のビジネスにとって大きな影響を与える可能性があります。インターネットがビジネスのあらゆる側面でより重要になってきている中、数分のダウンタイムが収益に影響を与え、顧客との関係を悪化させる可能性があります。マルチCDNは、障害が発生した場合に代替の配信オプションを提供することで、単一障害点を最小限に抑えることができます。

 

パフォーマンス:1つのCDNがすべての地域、全てのトラフィックタイプに対して常に最高のパフォーマンスを提供することはほとんどありません。複数のCDNプロバイダー間でコンテンツ配信のニーズをインテリジェントにバランスさせることで、特定のプロバイダー、特定の地域、特定のトラフィックタイプに対するパフォーマンスの不具合による影響を軽減することができます。

 

キャパシティ:大規模なコンテンツ配信イベントでは、個々のCDNプロバイダや特定の場所でボトルネックが発生することがあります。マルチCDNは、複数のCDNに負荷を分散させることで、これらのボトルネックを緩和します。ワールドカップのような大規模なライブイベントでの迅速なスケーリングは、CDNの重要な機能です。試合がレギュレーション時間の終わり近くに同点の場合、ファンが最後の数分間を見るためにログインすることで、大きなスパイクが発生するという傾向があります。

 

セキュリティ:複数のCDNプロバイダーを利用することで、サイバー攻撃を受けた場合でも、リスクを最小限に抑えたり、侵害されたCDNを完全に回避することができます。

 

3.マルチCDNはどのように機能するのか?

 

多くの場合、マルチCDNは有益ですが、複数のCDNをどのように導入するのか、また、自社のアプリケーションに最適な方法を決定するにはどのような要素を考慮すべきでしょうか。

DNS:DNS(Domain Name System)は、インターネット上のネーミングシステムです。しかし、インターネットを運用する機器はドメイン名を理解しておらず、IPアドレスを使って動作しています。ドメイン名からIPアドレスへの変換は、DNSによって実行されます。DNSはマルチCDN環境で異なるCDNを切り替える最も一般的な方法の1つです。

 

スタティック複数のCDNを組み込むための最も基本的な方法は、DNSエントリーを変更することです。この方法は、アクティブ・スタンバイ構成で使用できます。例えば、1つのCDNに障害が発生した場合、すべてのリクエストが別のCDNにリダイレクトされるように、DNSエントリーが修正されます。この方法では、異なるホスト名を異なるCDNにマッピングすることで、異なるポリシーを適用することができます。

 

加重ラウンドロビン:加重ラウンドロビン方式では、CDNの優先順位を示すために、各CDNに異なるランキングを適用することができます。加重や比率は、コスト、パフォーマンス、ISPの接続性など、お客様のビジネスにとって最も重要と思われる基準に基づいて設定することができます。

 

ジオロケーション:ジオロケーションでは、エンドユーザーの位置情報に基づいてCDN間でトラフィックが分散されます。これにより、トラフィックの発生源に基づいて、特定のCDNを優遇することができます。

 

パフォーマンス:パフォーマンスベースの負荷分散では、現在のネットワークの状態を考慮して、理論上の最高のパフォーマンスを実現します。このアプローチでは、ネットワークの状態を測定し、このデータを考慮してバランシングの決定を行います。

 

4.マルチCDNは貴社サービスに適していますか?

 

マルチCDNには魅力的なメリットがありますが、必ずしもすべての企業に適しているわけではありません。マルチCDN戦略が自社に適しているかどうかを検討する際には、次の事項を確認してみてください。

– 許容できるダウンタイムは数分?数時間?

– 他のCDNへのオーバーフロー機能で緩和できるようなトラフィックの急増があるか?

– デジタルコンテンツの配信にパフォーマンス(低遅延性)が重要か?

– エンドユーザーは世界中に分散しているか?

 

これらの質問に対する答えに「はい」がれば、マルチCDNはあなたの組織にとって、最も有益であるかもしれません。

 

5.適切なCDNパートナーの選択

 

コンテンツ配信環境にCDNを追加することが理にかなっていると判断した場合、次の問題はどのCDNパートナーを選択するかです。ここでは、いくつかの重要な要素をご紹介します。

地理的な範囲:考慮すべき重要な質問は「あなたのユーザーはどこにいますか?どの地域にサービス展開を検討しているか?」です。あなたのユーザーの多くがいる地域や国に拠点を持つCDNを探してください。また、グローバルなトラフィックの分布を考える際には、将来の成長について考えることも重要です。例えば、インドなどの新興市場からのトラフィックが増加すると予想される場合は、CDN契約を再交渉したり、CDNプロバイダーを時期尚早に移動したりする必要がないように、今のうちに考慮して決断してください。現在および将来のユーザーの多くがいる場所に拠点を持つCDNを探しましょう。

 

パフォーマンス指標:当たり前のように聞こえるかもしれませんが、お客様の体験にとって何が最も重要であるかを考えることから始めるのがベストです。例えば、動画配信の重要な指標としては、リバッファレート、ビットレート、起動時間などが考えられます。

 

パフォーマンスの測定:いくつかのパフォーマンスモニタリングツールが市販されていますが、多くの場合、その結果は誤解を招く可能性があります。パフォーマンスを評価する最善の方法は、お客様にとって最も重要な地域で実際のワークロードを使用して、複数のCDNでトライアルまたはコンセプトの実証を行うことです。

 

サービスとサポート:時にはうまくいかないこともあるでしょうし、技術の専門家に相談したいこともあるでしょう。このような場合、優れたサポートがあれば課題解決に大きな違いが生まれます。ライブのカスタマーサポートにアクセスできることは非常に重要です。

– 営業時間外にサポートを受けることはできるか?

– あなたの地域ではどのようなサポートが提供されているか?

– サポートは無料なのか、それとも有料なのか?

– ライブイベントを配信する場合、CDNパートナーはどのような経験を持ち、イベント前またはイベント中のブリッジに参加してくれるか?

– そのCDNベンダーは、他のCDNからのオンボーディングやマイグレーションをサポートしてくるか?

 

複数のCDNを利用してデジタルコンテンツを配信することで、より高いレベルの可用性とパフォーマンスを実現することができます。プロバイダーを適切に組み合わせることで、企業はエンドユーザーの体験品質の向上とコストの削減を同時に実現することができます。このトピックに関する詳細は、ライムライトの詳細ガイド「マルチ CDN 戦略の採用を検討するときに押さえておくべき5つのポイント」をご覧ください。

 

2021/03/09