×

事例: KDDI株式会社

世界中どこにでも遅延1秒未満で配信可能なサービスが これまでにないスポーツ観戦体験を実現

世界中どこにでも遅延1秒未満で配信可能なサービスが
これまでにないスポーツ観戦体験を実現
春高バレーのAR観戦を支えた「Limelight Realtime Streaming」

基盤事業である「通信」を軸に、コマース・金融・エネルギー・エンターテインメント・教育といったライフデザインサービスを連携、拡充させることで「通信とライフデザインの融合」を推進するKDDI株式会社(以下、KDDI)。そうした同社の新しい取り組みの1つが、AR技術を活用した新しいスポーツ観戦体験の提供です。KDDIでは「ジャパネット杯 春の高校バレー 第71回全日本バレーボール高等学校選手権大会(以下 春高バレー)」において、スマートフォンを活用したAR観戦サービスを提供。その配信基盤として選択されたのが、ライムライト・ネットワークスが提供する、世界中どこにでも遅延1秒未満で配信可能なライブ動画ストリーミング・ソリューションでした。

 

KDDIの課題
スポーツ観戦を最新の通信技術でアップデート
5G時代を見据え、より付加価値の高いサービスの創出を目指す

IoT(Internet of Things)や 5G(次世代移動通信システム)の活用が本格化するデジタルトランスフォーメーション時代の到来を見据え、新しい顧客体験価値の創造を追求し続けるKDDI。その具現化に向け、様々なパートナー企業との共創によるビジネス開発や、スタートアップ企業との連携によるオープンイノベーションの創出にも積極的に取り組んでいます。
そうしたミッションを担っている部門の1つがライフデザイン事業企画本部ビジネスインキュベーション推進部であり、中でも最新技術を活用した新規ビジネスの開発を手掛けているのが次世代ビジネス推進グループです。同グループでVR/AR等「XR」と呼ばれる技術領域でのビジネス開発を担当する川本大功氏は、「最近では、スポーツ観戦を最新の通信技術とXR技術でアップデートし、観戦者に新しい体験を提供するという取り組みを進めています。その一例が、昨年秋に札幌ドームで開催された日本ハムファイターズ対西武ライオンズ戦におけるARスポーツ観戦の実証実験です。これは観戦者が装着したスマートグラスにスタッツ情報を表示させたり、中継映像、実況・解説音声のリアルタイム配信を行ったりすることで、野球観戦における新しい体験価値を提供するものです」と説明します。
この実証実験に続いて、KDDIがフジテレビジョンとともに手掛けたのが、2019年1月12日・13日に開催された「春高バレー」準決勝・決勝戦での「AR観戦」です。スマートフォンとAR技術の併用により、バレーボールの新しい試合観戦を体験できるこのサービスを実現するにあたって不可欠だったのが、超低遅延の映像配信基盤でした。

 

KDDIの要件
観戦者に新しい体験を提供するためには
ほぼリアルタイムでの映像配信が可能な基盤が不可欠

春高バレーのAR観戦では、スマートフォンを通じてコート両エンドライン後方2視点などマルチアングルで観戦可能な「視点ジャンプ」をはじめ、スマートフォンのカメラをかざし会場内のAR空間にマスコットキャラクターのメッセージ画像を投稿して応援できる「ARエール」、さらには現在のスコアやテキストによる実況、選手情報の配信等、バレーボール観戦をより楽しむための、多彩なコンテンツが提供されています。
川本氏は、「今回のAR観戦で実現したかったことは2つありました。1つは、観戦者と実際の試合のエンゲージメントを強められるよ
う、スマートフォンを用いて観戦体験をサポートする仕組みを実現すること。もう1つは、スマートフォンにアプリケーションをインストー
ルせずともWebブラウザのみで利用可能にすることでした」と説明します。
その理由には、先述した札幌ドームの実証実験の結果、「まだ装着に不慣れなスマートグラスよりも、スマートフォンで見たい」という声が予想外に多かったこと、そして専用アプリのダウンロードなど、観戦者の手を煩わせたくないという思いがありました。
また、先の実証実験では現地に映像配信サーバーを設置して配信を行いましたが、球場のネットワークの混線など、映像を配信する上でネットワークの負荷は予想以上に高く、安定した通信を維持するのに苦労したといいます。
「そこで、オープンなネットワーク経由での配信を検討したのですが、最大のネックは実測で4秒以上の遅延の発生です。今回、約1万人のキャパシティを持つ試合会場で、すべての観戦者がアクセスしたとしても、動きの速いバレーボールのプレイを違和感なくリアルタイムで配信できるような基盤の構築が不可欠だったのです」(川本氏)

 

KDDIの選択
「Limelight Realtime Streaming」の採用により、
遅延のないスムーズなAR観戦の基盤構築を短期間で実現

KDDIの掲げた要件を満たしたソリューションが、ライムライト・ネットワークスが提供する「Limelight Realtime Streaming」でした。
Limelight Realtime Streaming は、世界中の視聴者に1秒未満の遅延時間でライブ動画の配信を可能とするソリューションで、最大の特徴は音声や動画のリアルタイム配信を Webブラウザで実現するプロトコル、「WebRTC」を採用している点にあります。このプロトコルを利用することで、デバイスにアプリケーションをインストールすることなく、リアルタイム配信が可能となります。さらに、データ転送には高速かつ軽量なプロトコル「UDP/IP」を活用しているほか、ライムライト・ネットワークスの世界最大のプライベートネットワークで結ばれた各接続拠点にWebRTCサーバーを設置することで、遅延を1秒未満に抑えた高速な配信を実現しています。
川本氏は、「当初は、オープンソースの動画配信サーバーを用いて自分たちで配信環境を構築することも考えましたが、WebRTC技術の習得からネットワーク、サーバーの構築、さらには監視まで、多くの工数が発生してしまいます。対して、Limelight RealtimeStreamingは遅延1秒未満でエンドツーエンドの映像配信ができる唯一のソリューションであり、ネットワーク基盤に加えてビデオプレーヤー開発のためのSDK等も提供されているため、厳しい構築スケジュールにも対応できると考えました」と話します。
KDDIはライムライト・ネットワークスの協力を得ながら検証環境を構築、その結果を評価しLimelight Realtime Streamingの本採用を決定。試合開催まで残り1か月というタイトなスケジュールの中、急ピッチでシステム構築を進め、春高バレーにおけるAR観戦サービスを実現することができました。川本氏は、「Limelight Realtime Streamingの超低遅延は期待以上のものでした。スムーズな配信はもちろん、オペレーションも容易であり、一般の観戦者からも『これまでにない新しい観戦体験で、ワクワクしながら試合を楽しむことができた』などの声が多数寄せられました」と評価します。
そのうえで川本氏は、Limelight Realtime Streamingについて次のように期待と要望を語りました。
「ビデオプレーヤーの実装に関するノウハウや、実際のユーザーによるケース別の構築ノウハウなど、今後のドキュメントの充実に期待しています。特に今回のケースで言えば、ビデオプレーヤーについてWebRTCサーバーとの通信方法等、より詳しい情報の開示をお願いしたいところです。デバッグや問題発生時の切り分けが容易になるほか、不明点についてもピンポイントで問い合わせできるなど、システム設計や構築、トラブルシューティングにかかる時間をさらに短縮できるようになりますからね」(川本氏)
Limelight Realtime Streamingを採用し、まったく新しいスポーツ観戦の楽しみ方を具現化したKDDI。今後の展望について川本氏は、「今回のAR観戦に関するシステムの構築を通じて、ベースとなるノウハウを蓄積できました。今後は5Gの商用化を見据え、より付加価値の高いサービスを創出していきたいと考えています。例えば、試合開始前から試合中、そして終了後まで、イベントをトータルで楽しんでもらえるようなサービスです。さらにはスポーツ観戦だけでなく、あらゆるエンターテインメント分野に今回得られた知見をフィードバックし、より顧客体験価値を高められるようなサービスの開発に繋げていきたいと考えています」と意欲を見せました。