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オンラインゲームの状況に関する調査 – 2020年

日本のゲーマーのプレイ時間はさらに伸び、パフォーマンスにも関心

 

世界最大規模のプライベート・ネットワーク経由で配信されるコンテンツ・デリバリー・ネットワーク(CDN)を提供するライムライト・ネットワークスは、オンラインゲームの利用状況に関する実態について、週に1回以上ビデオゲームを行う日本、フランス、ドイツ、インド、イタリア、シンガポール、韓国、イギリス、米国の9ヵ国の18歳以上の4,500人のゲーマーを対象にアンケート調査を実施し、その結果からグローバルの傾向と日本の特徴をまとめました。

 

日本のゲーマーの2極化がさらに進み、週20時間以上のヘビーゲーマーが増加

 

1週間あたりのゲーム時間のグローバル平均は6.33時間で、昨年の7.11時間から減少しました。日本の平均は6.64時間で、これも昨年の6.88時間からわずかに減少しましたが、世界平均を上回り、9ヵ国中第4位でした。
日本では週に1時間未満しかゲームをしないカジュアルゲーマーと20時間以上プレイするヘビーゲーマーの比率が共に世界で最も高く、元々2極化していますが、今年は1時間未満と20時間以上の比率が増加し、その傾向がさらに強まりました。しかし一方で週1-4時間のゲーマーが減少して7-12時間が増加するなど、2極化が続きながらも全体が長時間へシフトしています。

1週間のうち、どれくらいの時間をゲームに使っていますか?

 

世代別の平均プレイ時間を見ても、全世代で2019年よりも2020年は減少しています。ただ、若年層の落ち込みは高齢層よりも少ない傾向にあります。

1週間のうち、どれくらいの時間をゲームに使っていますか?

 

 

ゲームの中心は引き続きスマートフォン

 

世界的にもスマートフォンでゲームをする時間が長い傾向にありますが、日本では特に長く、昨年の2.29時間からさらに増え、韓国を抜いて世界一になりました。その分、PCやタブレット、ゲーム機でのプレイ時間は世界平均よりも低くなっています。

これらのデバイスでゲームをする頻度はどれくらいですか? (0-4で回答)

 

 

ゲーマーの不満はダウンロード時間の長さ

 

世界のゲーマーの86%近くがダウンロードプロセスにおける不満を感じています。日本でも81%が不満を感じており、最も多いのがゲームのダウンロードに時間がかかることで、37.8%が不満と回答しています。これは昨年の38.7%よりもわずかに減少しましたが、相変わらず世界平均(31.9%)を上回っており、インドに次いで世界第2位です。

ゲームをダウンロードする際に不満を感じる点は何ですか?

 

 

日本のゲーマーはオンラインでの視聴行動にシフトしつつある

 

日本のゲーマーは、eスポーツを見るよりも他のゲーマーのプレイ動画を見る時間が長く、週に2時間以上使っています。これは昨年の1.7時間よりも増えました。テレビでスポーツ中継を視聴する時間はわずかに増えましたが、オンラインでスポーツを見る時間とオンラインでeスポーツを視聴する時間はそれよりも増えており、オンラインでの視聴行動にシフトしていることが伺えます。

1週間で、これらのコンテンツをどれくらいの時間視聴しますか?

 

 

日本のゲーマーのプレイ時間は伸びており、ヘビーゲーマーの連続プレイ時間は世界一

 

日本のゲーマーがこれまでプレイしたことのある最長時間の平均は5.33時間と、昨年の5.14時間よりも伸び、引き続き世界一となりました。1-5時間のゲーマーが減少し、5時間以上が増えており、全体に長時間にシフトしています。15時間以上連続してプレイしたことがあると答えたゲーマーは8.6%で、他を大きく引き離して世界一となりました。

これまでに最長どれくらいの時間ゲームを続けたことがありますか?

 

 

ゲーマーにとってはパフォーマンスが最も重要

 

世界のゲーマーが最も重要視しているのはパフォーマンスで、ゲームの読込や動作などが高速に行えることでした。日本でもパフォーマンスは重視しますが、それよりもゲームのシンプルさを重要視しているゲーマーが上回りました。逆に、日本ではゲーム中の他のゲーマーとの対話はそれほど重要視されていません。

ビデオゲームをプレイする上で、これらの要素はどれくらい重要ですか?(0-4で回答)

 

 

世界ではクラウドゲームストリーミングサービスへの期待が高まるも、日本での立ち上がりは鈍い

 

家庭用ゲーム機などの専用ハードウェアを使わずにゲームをストリーミングでプレイするクラウドゲームストリーミングサービスへの関心は高まっており、世界平均では44%が契約したいと回答しています。この比率はインドやシンガポールなどで高く、日本や欧米諸国では低い傾向にあります。日本は世界でも最も低い値となりましたが、それでも21%が契約の意向を示しています。

お住まいの地域でGoogle Stadiaなどのクラウドゲームストリーミングサービスが利用可能になった場合、サブスクライブ契約をしますか?

 

一方でクラウドゲームストリーミングサービスを契約する際の障害について聞いてみると、世界では価格の高さを挙げたゲーマーが最も多く、次いでパフォーマンス(速度や遅延)となりました。この傾向は日本も同様ですが、日本ではパフォーマンスよりもプライバシーへの懸念を挙げたゲーマーが若干上回っています。

Google Stadiaなどのクラウドゲームストリーミングサービスとの契約の障害になっているのはどの要因ですか?

 

 

結論と提言

 

以上、日本の特徴を中心に調査の内容をご紹介してまいりました。日本ではあまりゲームをしないカジュアルゲーマーと、週20時間以上ゲームをするヘビーゲーマーの割合が高く、これはここ数年変わっていません。しかし、ヘビーゲーマーの連続プレイ時間は相変わらず世界一であり、全体としても長時間化する傾向にあります。
また、日本でもスポーツやeスポーツをオンラインで視聴する人が増加傾向にあります。さらに、ダウンロード時間の長さへの不満やパフォーマンスへの要求も高く、クラウドゲームストリーミングの懸念事項にパフォーマンスが挙げられるなど、日本のゲーマーは高品質なエクスペリエンスを望んでいることが伺えます。
ゲーマーとの関係性を良好に保つためには、高品質なエクスペリエンスを提供することが重要であり、ゲームベンダーとゲーム配信サイトは、回線の品質の維持や遅延の短縮などに取り組む必要があります。

 

 

ゲームのダウンロードプロセスを最適化する

 

世界のゲーマーの86%近くがダウンロードプロセスに何らかの不満を訴えています。不満の第1位はダウンロードに時間がかかりすぎることですが、ダウンロードできない、ダウンロードが中断するなども大きな要因となっています。メジャーなバージョンアップやアップデートが行われたときに、すべてのゲーマーに最速のダウンロード体験を提供できなければ、ゲーマーとの良好な関係は保てません。そのためには、世界規模の容量とパフォーマンスを備えたContent Delivery Network(CDN)のサービスを利用することが近道です。
緊密に結合されたキャッシングアーキテクチャを持ち、ISPや主要なエンドユーザーネットワークと直接接続されたCDNは、ゲーマーが最寄りのアクセスポイントからゲームをダウンロードできるようにすることで、トラフィックの急増に対応し、最高のパフォーマンスを提供します。CDNを利用する際には、ゲームのリリース後、すべてのゲーマーに即座に最速のダウンロードパフォーマンスを提供するために、あらかじめキャッシュにゲームソフトウェアをロードしておくことをお勧めします。

 

 

クラウドゲームストリーミングの普及に備える

 

調査データは、クラウドゲームストリーミングにおける多くのゲーマーの関心事はサブスクリプション価格とパフォーマンスであることを示しており、特に遅延(レイテンシ)が問題になると考えられます。多くの記事で遅延がゲームプレイに与える影響が議論されています。ゲーマーは、ダウンロードして手元のデバイスでゲームをプレイする場合とストリーミング時の遅延をどうしても比較するからです。高品質なゲーミング体験を提供するためには、ゲーマーとサーバーの間の接続を如何に高速に、如何に遅延無く行えるかが鍵となります。
そのためには、CDNによる高速なインターネット接続だけでは不十分で、遅延を最小に抑えるテクノロジーが重要になります。さらに、ゲーマーの近くで高負荷な処理を行い、高速なゲームをサポートできるエッジコンピューティングの適用も有効です。
日本では、クラウドゲームストリーミングサービスの契約を考えているゲーマーはまだ多くありませんが、元々スマートフォンでゲームをするゲーマーが多いことから、価格や遅延などへの懸念が払拭されれば、日本でも急速に普及することが考えられます。