2極化する日本のゲーマーに対応するためには、
通信環境の強化が必要
世界最大規模のプライベート・ネットワーク経由で配信されるコンテンツ・デリバリー・ネットワーク(CDN)を提供するライムライト・ネットワークスは、オンラインゲームの利用状況に関する実態について、週に1回以上ビデオゲームを行う日本、ドイツ、フランス、韓国、イギリス、米国の6ヵ国の18歳以上の3,000人のゲーマーを対象にアンケート調査を実施しました。その結果から、グローバルの傾向と日本の特徴をまとめました。
日本のゲーマーはカジュアルとヘビーに2極化している
1週間でゲームに費やす時間を見てみると、日本では1時間未満のカジュアルゲーマーが最も多い反面、20時間を超えるヘビーゲーマーの比率も6ヵ国中最高となっており、2極化が進んでいることがわかります。
1週間でゲームに費やしている時間はどれくらいですか?
ダウンロードに時間がかかるのが最も不満
全体の3/4が「ゲームやコンテンツをダウンロードする際に不満がある」と回答しており、どのようなときに不満を感じるかを尋ねたところ、世界的に見ても「ダウンロードにかかる時間」が長いことがもっとも高く、これは日本でも同じ傾向です。
ゲームをダウンロードする際に不満を感じる点は何ですか? (ダウンロードに不満と答えたゲーマーのみ)
日本ではシングルユーザーのロールプレイングゲームが人気
プレイしているゲームのタイプを見ると、グローバルではAngry Birdのようなカジュアルなシングルプレイヤーゲームが人気ですが、日本ではシングルユーザーのロールプレイングゲームの人気が高いのが特徴です。現在、グローバルではFPSやMMORPGの技能を競い合うeスポーツが急速に伸びており、今後は日本でも普及が予想されていますが、eスポーツには特に高速で低遅延なエクスペリエンスが大切です。
どのタイプのゲームをプレイするために最も時間を使っていますか? (順位を0-4で回答)
日本のゲーマーは他のゲーマーのプレイ動画を視聴することを好む
日本では、スポーツ(野球やサッカー)中継やeスポーツ(ゲームトーナメント)を観戦しているゲーマーよりも、他のゲーマーのプレイ動画を見ているゲーマーの方が多いという結果になりました。ただ、eスポーツは今後日本でも視聴の伸びが予想されています。
1週間で、これらのコンテンツをどれくらいの時間視聴しますか?
日本のゲーマーはプロになりたいとは考えていない
グローバルではおよそ1/3のゲーマーが仕事を辞めてプロのゲーマーになっても良いと考えており、イギリスでは4割に達しています。一方で、日本は3/4が「いいえ」と答えています。
食事は忘れないが睡眠は惜しむ
ゲームに夢中になって日常を忘れることは、良くあることです。61.6%は寝るのを惜しんでゲームをしたことがあると答えています。日本のゲーマーは、ゲームのせいで食事を忘れることは無いようですが、睡眠を削るということでは世界の平均を上回ってます。
ゲームをしていて、するのを忘れてしまったことはどれですか? (あてはまるものすべて)
セキュリティに強い関心
ゲームサイトがセキュリティ侵害に遭った場合、グローバルでは57%のゲーマーがそのサイトからのゲームの購入やプレイを続けないと答えています。日本も、韓国・フランスに次いでこの問題に関心の高い国となっています。
ゲームサイトがセキュリティ侵害に遭った場合、そのサイトからのゲームの購入やプレイを続けますか?
結論と提言
以上、日本の特徴を中心に調査の内容をご紹介してきましたが、全体的には日本も世界的な傾向に沿った調査結果となっています。ゲーマーとの関係性を良好に保つためには、高品質なエクスペリエンスを提供することが重要であり、マーケティングと収益の機会を最大限に活用するために、ゲームベンダーとゲーム配信サイトは、以下の点を考慮する必要があります。
有料ゲーム/コンテンツのお試しをしやすくする
ゲーマーの85%が毎年フリーゲームを複数回ダウンロードしていますが、有料のゲームを定期的にダウンロードしているのは全体の55%に留まります。コンテンツの購入を促すために、期間限定で無料でゲームを試してもらうといった形で彼らの興味を引くことが有効です。また、アプリ内購入も成功している戦略です。ゲーム自身は無料でプレイでき、追加のコンテンツやゲーム内で使うアイテムなどのために料金を支払う仕組みで、ユーザーの裾野が拡大し、収益にも繋がります。
ゲームのダウンロードプロセスを最適化する
ゲーマーは頻繁にコンテンツをダウンロードします。しかし、4分の3がダウンロード体験に不満を持っているという結果は、潜在的に売上機会が失われている可能性を示しています。顧客に対して最高のダウンロード体験を確実に提供するためには、物理的に顧客に近い場所にコンテンツをキャッシュできるContent Delivery Network(CDN)の利用が効果的です。
新しいコンテンツの配信開始直後などにアクセスが集中しても一貫したダウンロードパフォーマンスを確保するために、CDNはすべてのグローバルロケーションで十分な配信容量を持っている必要があります。またCDNは、エンドポイントの場所に関係なく最速のパフォーマンスを維持するために、できるだけ長くコンテンツをキャッシュに保持できるよう、PoP(Point of Presence: 配信拠点)内およびPoP間の密なキャッシュアーキテクチャを備える必要があります。
さらに、最高のダウンロードエクスペリエンスを提供するために、新しいソフトウェアやコンテンツをリリース前にキャッシュに配置しておくことも重要です。
クラウドベースのセキュリティソリューション
を使用してインフラを保護する
ゲーマーはセキュリティに敏感です。ゲームサイトがセキュリティ侵害に遭った場合、半分以上のゲーマーが、そのサイトからのゲームの購入やプレイを続けないと回答しています。ウェブサイトとユーザーデータのセキュリティを確保するために、Web Application Firewall(WAF)を使用して、SQLインジェクションやクロスサイトスクリプティングなどの悪質なHTTP攻撃からウェブアプリケーションを保護する必要があります。
WAFによる保護がサイトのパフォーマンスに影響を与えないようにするためのもう1つの注意点は、CDNとウェブアプリケーションインフラストラクチャの間でWAFを統合することです。WAFをCDNに統合することで、WAFはキャッシュされていない動的コンテンツまたはコンテンツへのリクエストのみを検査すれば良いことになり、全体的なコンテンツ配信パフォーマンスが向上します。
さらに、分散型サービス妨害(DDoS)攻撃にからの保護も必要で、ハッカーがウェブサイトをオフラインにしたり、大量の悪意のあるトラフィックによってソフトウェアダウンロードへのアクセスを妨害することができなくなります。DDoS攻撃下でも最適なパフォーマンスを維持するためには、CDNネットワークにスクラビングセンターを統合してDDoS攻撃の緩和を行う必要があります。
日本の状況
日本でも、ゲーミング環境下でのCDNの必要性については世界の傾向と変わりません。
・ 日本のゲーマーの37%はファイルをダウンロードするためにかかる時間に不満を抱いています。
・ 他のゲーマーのプレイ動画を視聴するゲーマーが多い日本では、ビデオ配信のパフォーマンスが重要です。これは今後拡大が見込まれるeスポーツ観戦でも重要になります。
・ 週20時間以上プレイするヘビーゲーマーの割合が高い日本では、高速で低遅延な通信インフラへの要求は厳しく、今後世界的なeスポーツのトーナメントに参加するゲーマーが増えてくれば、その要求はさらに高まるでしょう。
・ セキュリティについても、侵害されたサイトを利用しないと回答した比率はグローバルの平均を上回っています。